高麗人蔘の薬効成分
高麗人蔘は、デンプンなどの炭水化物が６０～７０％と多く含まれているが、他の植物には見られないジンセノサイド(Ginsenoside)、ポリアセチレン(polyacetylene)、抗酸化性の芳香族化合物、肝臓保護作用のあるゴミシン(gomisin-N,-A)、インスリンと類似した作用を持つ酸性ペプチドなどの特異な成分が含まれている。
特に非サポニン物質の主な成分で、抗酸化活性及びがん細胞増殖の抑制活性成分であるフェノール、及びポリアセチレン成分の含有量は、アメリカニンジンに比べると高麗人蔘が多いため、生理活性作用も強い。
高麗人蔘の主な薬理成分として知られている人蔘サポニンは、｢ジンセノサイド(Ginsenoside)｣と呼ばれているが、他の植物で見られるサポニンとは異なる特殊な化学構造を持つだけでなく、その効能もまた非常に異なる。分離分析技術の発達により、現在までに３０種の人参サポニンの化学構造が明らかになっている。
ジンセノサイド(Ginsenoside)の化学構造の特性によって、プロトパナキサジオール(PD)系、プロトパナキサトリオール(PT)系、オレアナン(oleanane)系サポニンに区分されるが、現在までにそれぞれ１９種、１０種、１種の化合物が分離精製された。高麗人蔘のサポニンの種類は全３０種で、アメリカニンジン１４種、サンシチニンジン１５種に比べると、圧倒的に多い。
紅蔘と白蔘の相違点
| 項目 | 紅蔘 | 白蔘 |
|---|---|---|
| 色 | 淡赤褐色、淡黄赤褐色、茶褐色、濃茶褐色 | 乳白色または淡黄色 |
| サポニン | ginsenoside-Rg2(20R),Rg3(20S), Rh1(20R),Rh2,Rh4,などを生成。Ginsenosideの熱分解における部分構造の変化 | malonyl-ginsenoside-Rb1, Rb2, Rc及びmalonyl-ginsenosides-Rdは水溶性で熱に弱いため、60～70°C以上の熱処理によってginsenosideに変化 |
| 酸性多糖体 | 7~8% | 2~3% |
| デンプン | 糊化した状態 | 生デンプン状態 |
| 酵素 | 全て失活 | α-amylase、invertaseなど、殆んど全ての酵素が活性維持 |
| ポリアセチレン | 0.6~1.0 mg/g | 0.1~0.2 mg/g |
| 褐変物質 | 白蔘より分子量が若干大きい褐変物質の存在(melanoidin pigment) | 褐変物質というよりは、天然色素の存在 |
| 水素供与性 (還元活性) | 大 | 小 |
| 血小板凝集能抑制作用 | 大 | 小 |
各国人蔘のサポニン比較
| 成分/種別 | 高麗人蔘 | アメリカニンジン(アメリカ産) | サンシチニンジン(中国産) | トチバニンジン(日本産) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 紅蔘 | 白蔘 | ||||
| 総サポニン数 | 30種 | 23種 | 14種 | 15種 | 8種 |
| プロトパナキサジオール系 | 19種 | 15種 | 9種 | 6種 | 3種 |
| プロトパナキサトリオール系 | 11種 | 7種 | 4種 | 9種 | 4種 |
| オレアナン系 | 1種 | 1種 | 1種 | - | 1種 |
