｢本草綱目｣に収録されている人蔘の薬効を、現代医学を考慮して記述すると、次のとおりである。
- 1男女の全ての虚症、身体虚弱を直ちに回復させ、人体の五臓六腑の機能を補う。
- 2 体力の消耗が激しい患者、又は動悸や不安神経症などの症状を抑える神経系強壮剤としての効能がある。
- 3 ウィルス、インフルエンザなどに対する免疫力を増加、予防する。
- 4 目のかすみをなくし、脳機能を改善する。
- 5 糖尿病による渇症、多食、多尿などの症状を抑える効果がある。
- 6 激しい嘔吐を抑える。
- 7 胃の機能を丈夫にして胃酸過多症を治し、消化機能を増進する。
- 8 慢性胃炎における嘔吐や下痢が見られる患者に効果がある。
- 9 胃または大腸内にたまったガスを排出する。
- 10 過労や偏った食事による体力の低下など、各内科疾患に良い。
- 11 脳出血、脳血栓症などによる半身不随、手足が思うように動かせない時、猛暑による消化不良、その他内臓型冷え性などに使用する。
- 12 高麗人蔘を長期間服用すると、身体が軽くなり長生きできる。
- 13 胃もたれや気力不足による胸苦しさや呼吸困難が見られる時に使用する。
- 14 体内にある各癌腫や腫瘍を破壊、消滅、回復する作用がある。
- 15 痰、気管支腺からの滲出液を排出する。
- 16 風邪による熱性疾患の経過中に見られる消化不良に効果がある。
- 17 鉱物性生薬の誤用による中毒症状に使用する。
- 18 呼吸の乱れと肺活量不足がともに見られる場合、肺機能を補強する。
- 19 体力消耗による体液不足を引き起こした時、体内の体液分泌を促進させる。
- 20 産後或いは産前に見られる全ての疾病に用い、喀血、血尿、子宮出血、大腸出血、胃腸出血などの失血者には補気、補血、止血作用がある。
- 21 身体虚弱や過労による心肺、又は消化器系への過重負担が引き起こす熱症に使用すると、その熱を調節する効果がある。
- 22 激しい下痢、大腸炎に使用する。
- 23 頭痛、目まいなどの症状に効果がある。
- 24 体力不足による自汗を抑え、発熱性消耗性疾患などによる虚血を鎮める。
- 25 頻尿や乏尿に使用する。
- 26 四肢神経痛又は麻痺症状が見られる時に使用すると、強心作用により、新陳代謝や血行を促進してくれる。
高麗人蔘の七効説
補気救脱
気力を補い、各種急慢性疾病による体力の低下、脱力感に効果がある。 体力増強、疲労回復作用がある。
益血復脈
血液の生成を促し、肺や脾臓の機能を高め、貧血による新陳代謝の異常や血液循環を改善する。
養心安神
自律神経を整え、血行不全や心臓機能の低下から引き起こる精神的ストレスを解消する。即ち、精神安定作用がある。
生津止渴
人蔘は、肺や脾臓、胃の機能を改善し、新陳代謝を増進させ、人体が必要とする体液を補うことで、身体の渇きを防ぐ。糖尿病の治療に効果がある。
補肺定喘
肺機能の低下によって引き起こる喘息や咳漱を改善し、脾胃の気を高めて精気を安定させる。呼吸を安定させる作用があるので、呼吸器系疾患に効果がある。
健脾止瀉
胃腸を丈夫にして下痢を止める。消化器官を改善し、消化機能を高める。
托毒合瘡
体内にある毒を排出し、代謝障害によって発生し得る病気に対する免疫力を高め、皮膚の機能を正常化させる。皮膚腫瘍にも効果がある。
